2018年11月に映画「スマホを落としただけなのに」公開されます。
原作は「このミステリーがすごい!」大賞で最終候補に残った志駕晃著の同名小説です。
現代社会で一番人が戦慄するのは、個人情報の固まりのスマホの情報を盗まれることだという事実を突きつける、原作であり映画です。
映画のキャッチコピー
「スマホを落としただけなのに あなたの命も狙われる」
は、まさしく個々人への警鐘にほかなりません。
あなたを証明するのは、あなた自身ではない、所有しているスマホです。
危機と隣り合わせでもスマホを持ち続けなければ、現代社会で生きていけないのも事実です。
危険を持ち歩き続けてなければ生きていけない―それが私たちの現状です。。。
スマホを落としただけなのにあらすじ
何が怖いのか?
ターゲットにされたのはスマホを落とした本人ではなく、その恋人だったこと。
スマホを拾った男はハッキングの技術を持っていました。
拾ったスマホに「稲葉麻美」から電話がかかってきました。
待ち受け画面のツーショットで名前と顔がわかりました。
電話に出ると
「その電話、富田誠の物ですよね」
と麻美の声が問いかけてきました。
「スマホを拾った者です」
男はスマホを返す約束を麻美としました。
電話をきると、男はセキュリティ意識の薄い富田のスマホを簡単に開き、データを盗みとると、さらにスマホに細工を施しました。
顔を合わせず、スマホを返却。
富田も麻美も一安心していましたが、男にとって狩りはここから始まりました。
富田のスマホに仕掛けたGPSで位置監視をして、恋人の麻美の住所を割り出しました。
富田と麻美のラインのやりとり、写真、フェイスブックー富田のスマホの情報を使って男は、富田に近い人物になりすまし、SNSで麻美に近づいていきました。
麻美自身の知らないところで、麻美の情報はスマホを拾った男の元に着々と積みあがっていきました。
男の最終的な目的は、麻美を弄んだあと殺害することでした。
スマホを拾った男は、連続殺人犯だったのです。
原作からネタバレ!
映画のネタバレを原作本からネタバレしていきます。
原作は、三つの視点でストーリーが展開していきます。
・稲葉麻美の視点
・身元不明の女性死体を調べる毒島刑事の視点
・スマホを拾った殺人犯の視点
それでは早速、ストーリーを追っていきましょう。
(1)連続殺人事件発覚
身元不明の女性の死体が発見されました。
その後同じ山中から他の遺体が発見され、合計5人の被害者が発見されます。
全員、若い女性で性的な暴行を受けた後殺害されていました。
被害者の共通点は、黒髪のストレートロングであること。
そして、5人の身元がいつまでたってもわからないことに、毒島刑事は困惑していました。
5人とも行方不明の届けと一致しないのです。
犯人は、天涯孤独の女性ばかり狙っていたとしか考えられない状況でした。
(2)追いつめられる稲葉麻美
麻美はSNS上で知り合った小柳という男に振り回されていました。
富田の会社の人事で働いているというので邪険にできないでいたのです。
麻美は富田と結婚すべきか、それとも大学時代に付き合っていた武井雄哉とよりを戻そうか悩んでいました。
麻美の悩みをなぜか小柳は細かく知っていました。
小柳の嫌がらせで富田は武井の存在を知り麻美との関係がギクシャクしはじめていました。
さらに小柳の行動がエスカレートします。
麻美に「麻美さんのプライベート写真をSNSに公開します」とメールに写真を添付して送ってきたのです。
麻美がフェイスブックを慌てて開けようとしますがパスワードが違うとはねられてしまいます。
追い打ちをかけるように武井から怒りの電話が入りました。
「フェイスブックにあんな投稿するなんてルール違反だ、いくら僕が既婚だからといっても」
武井が既婚者だったのは初耳でした。
呆然とする麻美は友人の杉本加奈子に電話してフェイスブックの投稿内容を確認しました。
麻美のフェイスブックは乗っ取られていて、「既婚の武井にもてあそばれた」というメッセージと武井とのキス写真(富田と武井で揺れ動いていた時、武井と会ってキスをしたのは事実だった)が投稿されていました。
思い当たる犯人は小柳です。
すぐに対応しなければいけないー麻美は浦野義治に相談しました。
浦野義治とはフェイスブックで大学の友人の紹介による知り合いで、インターネットセキュリティの専門家でした。
麻美の部屋にやってきた浦野は、あっという間にフェイスブックを取り戻し、小柳への対策も任せてくださいと言うと帰宅してしまいました。
後日、麻美と富田に浦野が報告してきました。
小柳のフェイスブックはなりすましに乗っ取られていたので、それを更に乗っ取って真犯人の住所を割り出して、警察に連絡したとのことでした。
ようやく安堵した麻美でしたが、富田との仲は更にギクシャクしていました。
(3)連続殺人事件の突破口
連続殺人事件の被害者の1人の身元がわかりました。
池上総子―上京して風俗嬢をしていました。
田舎の母親は「娘とは連絡を取り合っている」と言うのです。
最近も留守電があったといい、聡子のSNSも更新され続けています。
聡子が死んでいると疑わせる状況は一切なかったのです。
毒島刑事は、犯人が被害者のスマホを使って偽装工作をし続けていると考える他ありませんでした。
ちょっとずつ積みあがっていく捜査線上に、ある男が浮上してきました。
(4)犯人のネタバレ
男は警察が近づいていることを感じていました。
ターゲットの稲葉麻美の仕上げをしなければいけません。
フェイスブックで小柳になりすまし、武田と富田の存在をばらしたのは、麻美を孤立させるためでした。
案の定、既婚の武田は麻美から離れていきました。
富田との関係も破綻寸前です。
後は、麻美が知り合いに「しばらく傷心旅行に出る」とメールをすれば偽装は完成します。
麻美のいきつけのバーで麻美を待ちました。
麻美が声をかけてきました。
「浦安さん?」
ラストはどうなる?
浦安は麻美の最大の秘密を麻美に確かめました。
「麻美さんとルームシェアしていた山本美奈代さんは、自殺したAV女優・渚さゆりなのでしょう?」
浦安は続けます。
「麻美さんのフェイスブックのパスワードが「sayuri0118」だった理由ですよね」
麻美は飲んだお酒に仕込まれた薬で意識が遠のいていくなかで、富田のスマホを拾った相手が浦安であったことを悟りました。
目覚めると麻美の体は拘束されていました。
そして、麻美を埋める穴を掘ってくると言うと浦安は部屋を出て行きました。
麻美のスマホが鳴りました。
しかし、麻美は出ることができません。
いや、できる!麻美は叫びました。
「Siri、富田くんに電話して!」
浦安が穴を掘り終わって帰ってきました。
待ち伏せしていた富田が浦安を殴り、浦安を拘束しました。
形勢が逆転したのに、浦安は平然としています。
「取引をしたい」
浦安の言葉に戦慄したのは麻美でした。
「パソコンの動画を観ればわかります」
富田が動画を開きました。
渚さゆりという女優のAVでした。
浦安が説明を続けます。
芸名・渚さゆりの個人情報がミスでネットに流出して本名が山本美奈代であることがばれたこと、それが原因で美奈代は家族とも疎遠になったこと、その当時部屋をルームシェアしていた稲葉麻美が自殺したこと。
麻美は美奈代に自殺直前「私の代わりに生きてください 麻美」とメッセージを送っていました。
稲葉麻美も山本美奈代も、家族と疎遠になっていたので、身元確認は同居人だった美奈代がすることになったのです。
警察官が尋ねました
「亡くなったのは山本美奈代さんで間違いないですか」
麻美のメッセージの意味を悟った美奈代はうなずき、以後稲葉麻美にすり変わったのだと、富田に説明しました。
秘密にしておきたければ、僕を逃がせというのが浦安の取引内容でした。
富田はショックを受けながら浦安の拘束を外しました。
浦安が富田に襲い掛かろうとしたとき、警察がなだれ込んできました。
原作では、ラスト、しばらく連絡がなかった富田から麻美へラインが入りました。
「新しい戸籍で俺と人生やり直しませんか?」
まとめ
映画「スマホを落としただけなのに」は、スマホで人生の全てがめちゃくちゃになる恐ろしさを、真正面から訴えています。
私たちは、スマホに頼って生きています。
自分を証明するのも、スマホの電話番号という時代です。
放置したままのSNSや会員登録ありませんか?
個人情報が何万人分流出というニュースも日常茶飯事で鈍感に聞き流していないでしょうか?
どんなホラー映画より怖いのは、物語の話だと片づけられない現実にありうる問題だからです。